倉都康行

日欧米で発覚した金融問題は、 。。。 大手金融機関に潜んでいる「甘えの構造」が徐々にあぶり出されているのだ。それは同時に、日欧米の金融当局におけるモラルハザードへの対処方法の差異を浮き彫りにするものでもある 。。。 日本のケースは 。。。 増資に絡む証券引き受け部門のインサイダー情報を営業部門が取得して、貴重な顧客に「収益源」として情報提供するものだ。これが大手3社で組織的にかつ恒常的に行われていたことが、ようやく表面化したものである。日本には未公表情報を漏らした行為に対する処罰規定もない。そんな事情をうすうす知りながら、放置・黙認していた経営者らの責任は、厳しく問われてしかるべきである。だが日本ではインサイダーに関する厳格な懲罰体制がほとんどないに等しい。課徴金も、腐った金融マインドを修正しうるような金額ではない。 その点で極めて対照的であったのが、バークレイズの会長とCEOの引責辞任であった。これはLIBORの不正操作に絡むものでインサイダー取引ではないが、「金融機関の低モラル」という意味では、似たようなものである。二人は形式的に自主的な辞任の形式を取っているが、実質的に彼らの首を取ったのは、英国の政府・中銀・金融サービス機構(FSA=日本の金融庁に相当)であった。